暗号資産デリバティブ取引、自己資本規制適用か

国内では仮想通貨交換業者の登録が進み、現在合計22社に上りますが、有料日系メディアによると、暗号資産デリバティブ取引に関して、法改正により金商法が適用されるため、現在策定中の内閣府令案で、暗号資産を取り扱う交換所にも、証券会社と同水準の厳格な自己資本規制が課せられる見通しであることが報じられ、各取引所にとっては厳しい環境となりそうです。

詳細は不明であるものの、府令案で自己資本比率は、市場リスク(リスク・ウェイト100%)、取引先リスク(25%)、基礎的リスク(100%)が加重される方向のようです。デリバティブ取引が増えるほど資本負荷が増える「市場リスク」の算定は、標準的方式の他、内部管理モデル方式での計算も認められるようです。コールドウォレットで管理していない場合、ハッキング・流出時の再調達コスト見合いとして100%を基礎的リスク相当として加算する必要があり、リスク・ウェイトは最大225%(上記合計)となるようです。

あくまでイメージですが、例えばリスク・ウェイトが厳格に規定されていることで知られる証券化商品でみると、最優先トランシェ・残存期間5年以上の証券化商品のうち、「BB-格付」に匹敵するリスク・ウェイトの高さです。

「市場リスク」の算定は、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)のバーゼル規制における「マーケット・リスク」に準拠している部分が多いのですが、当のバーゼル委も暗号資産取引に関し、自己資本規制の検討を行っているとの報道もあることから、恐らく規制の方向性は同じであるものと推測しています

今後暗号資産デリバティブ取引などで、暗号資産交換所が差別化を図る可能性も想定されていた中、金商法の枠組に入ったことで、既存の証券会社との競争にも晒されるうえ、自己資本規制と収益性の狭間で厳しい戦いが強いられそうです。

<金商法第46条の6抜粋>

1 金融商品取引業者は、資本金、準備金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額から固定資産その他の内閣府令で定めるものの額の合計額を控除した額の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として内閣府令で定めるものの合計額に対する比率(以下「自己資本規制比率」という。)を算出し、毎月末及び内閣府令で定める場合に、内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 金融商品取引業者は、自己資本規制比率が百二十パーセントを下回ることのないようにしなければならない。
3 金融商品取引業者は、四半期(事業年度の期間を三月ごとに区分した各期間(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度にあつては、内閣府令で定める各期間)をいう。第五十七条の二第五項並びに第五十七条の五第二項及び第三項において同じ。)の末日における自己資本規制比率を記載した書面を作成し、当該末日から一月を経過した日から三月間、全ての営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。

※既存の証券会社は、金融商品取引法(金商法)第46条の6第2項により、金融商品取引業者は自己資本規制比率が120%を下回らないようにする必要があります(140%を下回ると報告義務発生)。

satogram

仮想通貨メディアCoinCollege∛の編集長。規制動向及び業界動向を担当。国内外金融機関で金融商品のストラチャリング業務、セキュリタイゼーション業務、バイサイドリサーチ業務に従事。

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