SBIHDの決算からみる「STO活用」と今後の展望

31日、SBIホールディングス株式会社は、2020年3月期第3四半期の決算説明会(資料)を実施しました。

国内金融機関や証券会社等は貸出金利の低下や手数料無料化の流れを受け、ますます収益力低下が懸念されている状況ですが、SBIHDはグローバルな視野でフィンテック事業への先行投資を推し進めています。

ブロックチェーン・デジタルアセット領域に関して、代表取締役社長の北尾氏は、本来的事業目的は『物流の背後にある金利をどのように最先端技術で掴んで行くか』にあると述べ、SBIアフリカ(現在アフリカ向けの中古車輸出で販売金融を手掛ける)と現地企業等で組み「XRP」や「BTC」(アフリカのほとんどの法定通貨より信用力のある)を活用した国際送金や決済サービスの実現に意欲を示しました。

北尾氏主導のもと設立された一般社団法人日本STO協会について、説明会では『証券会社にとっては新しい領域が広がる事を意味し、画期的なことになると述べるに留まりましたが、みずほ証券とSMBC日興証券を新たに加わえ、参画企業は、SBI証券、カブドットコム証券、大和証券、野村證券、マネックス証券、楽天証券の合計8社となり、2020年春の自主規制団体認定取得に向けて着実に準備を進めているようです。

『SBIグループが考えるSTOの役割』(資料)に掲げられた、STOの意義やコンセプト(ICOの優れた部分を継承しつつ、法制度に準拠し、既存の有価証券と異なる価値を提供すること)から、まずはベンチャーや中小企業等の代替的資金調達手段に軸足を置いた商品設計(伝統的なファンド持分にあたる商品など)が見込まれているものと考察しています。

意義>(SBIHDの資料抜粋)
  • ベンチャー企業等に対しての新しい資金調達手段の提供
  • 投資家に対しての新しい投資商品の提供
  • 既存の手法では資金調達が難しかった組織への機会提供

他方、「Security Token研究コンソーシアム」を設立し、STOを準備している三菱グループは、三菱UFJ信託銀行のもつ「信託機能」(※)を活用した、裏付資産のあるトークンベースの有価証券(伝統的な証券化商品など)を主軸に置いた商品設計を検討している状況と見られます。

STOは、有価証券の流動性向上及び、発行・管理コストの低減に繋がるものとして期待されており、各社新たなビジネス機会の創出に尽力しています。

しかし、高い流動性を持たせると、一項有価証券に格上げされ開示規制が却って重石となることや、株式移転や所有権移転、第三者対抗要件など民法上の整理も必要であり、商品設計にはまだ労力を要しそうですが、各社の機動力に期待がかかります!

(※)今般の改正案では、信託銀行(兼営法)による暗号資産の信託行為は禁止されていますが、セキュリティトークンは有価証券に位置付けられ、暗号資産と区別されています。しかし、具体的な商品設計に落とし込んだ際、STOの仕組みが暗号資産等の定義に当たらないか曖昧な部分も残っていると考えられており、今後のパブコメ回答待ち部分もあるようです。

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