今さら聞けないICOとは?STOとは?違いも解説!

仮想通貨市場では2017年半ば頃から2018年にかけて、ICOによる資金調達が世界的にブームとなりました。しかし2018年半ば以降はICOの金額・件数共に減少し、徐々にSTOへとシフトしていきました。本稿では、ICOやSTOがどういった資金調達方法で、なぜ人気を博したのか考察したいと思います。

まずはじめにSTOの原点にあたるICOに関して解説します。

ICOとは?

ICOとはInitial Coin Offeringの略で、IPO(Initial Public Offering/新規公開株)が語源となっています。IPOが『法定通貨で資金を集めて株式を発行する』ことに対して、ICOは『新しいコイン(通貨)を発行し、投資家から資金を集める』スキームを意味します。《発音はICO(アイ・シー・オー)です》

世界で初めてICOに成功したのは、仮想通貨の時価総額ランキング第2位のEthereum(イーサリアム)と称されています。2014年当時、まだICOという言葉も誕生していない時代に、イーサリアムはビットコインベースで31,529BTC分相当もの資金調達を行うことに成功しました。さらにイーサリアムはICO市場拡大の立役者でもあります。

イーサリアムとICOの関係性

ICOの発展を語る上で、イーサリアムの存在は外せません。

イーサリアムはビットコインのような決済取引に特化したものではなく、アプリ開発のために構築されたブロックチェーンです。イーサリアムは、決済取引に関するする情報に加え、『スマートコントラクト(Smart Contract)』という、事前に設定した契約(=Contract)の権利関係と履行条件に基づき、プログラムにより自動的に実行させ、ブロックチェーン上に記録する機能が実装されているのです。

このスマートコントラクトにより、イーサリアムのブロックチェーン上で、イーサリアム(ETH)の受領(=条件)と引き換えに新しいトークンを発行する(=履行)という契約を設計し、ブロックチェーンに全ての取引を記憶させることができるようになりました。

イーサリアムのブロックチェーン上で発行できるトークン規格を、ERC20(Ethereum Request for Commentsの頭文字)と言います。

このERC20の誕生によって、トークンを発行したい側には、ブロックチェーンを一から構築することなく独自のコインをイーサリアムのブロックチェーン上で発行できるメリットが、そして投資家側にはイーサリアムと同じウォレットで新しいトークンを一括管理できるというメリットがもたらされました。この利便さにより、ほとんどのICOはERC20規格に準拠したトークンで発行されています。

ICOの普及と低迷

ICOは、ERC20により手軽にできるようになったことに加え、2017年の仮想通貨バブル期に、投機目的の投資家が仮想通貨市場に多く流入し、ITベンチャー企業の資金調達ニーズとマッチしたことで一気に人気に火がつきました(下図1参照)。

図1:2017年データ(出典:ICODATA.IO)

しかしこの流行は残念ながら長くは続きませんでした(下図2参照)。
ICOには、リターンが非常に不確実であるのに対し、リスクが高すぎる側面があるためです。

ICOはIPOをもじっていますが、トークンが株に取って代わったものではありません。誰でもネットで少額から購入できる手軽さがある一方、現在の法制上、金融商品と同等の扱いにはなっていないため、投資家保護の枠組み等が整備されておらず、投資は完全に自己責任となります(利益は当然仮想通貨と同じく国内では課税対象です)。さらに、発行者側には、既存金融のIPOや社債発行等といった資金調達手段のような、「目論見書」の作成や第三者による「デューデリジェンス」(案件の精査)が求められておらず、開示情報が限定的であるため、情報の非対称性が大きいことも問題となっていました。

図2:2018年データ(出典:ICODATA.IO)

ICOの良さは、IPO等で発生する膨大な書類や手続きに係る人材・時間と労力・各種コストを省き、会社としての実績レコードがなくとも、①やりたい事業の構想、②調達した資金の使い道、③プロジェクトのスケジュール、④プロジェクトメンバー等が網羅された『ホワイトペーパー』と呼ばれるWEB上で公開される文章で、一般投資家の賛同を得られれば場合によっては世界中から数日で巨額の資金調達ができるという迅速さ・資金調達のハードルの低さにあります。さらにWEB上では資金の集まり具合も一般公開されるため、人気が高いものほど、そこには人材が集まったり、ベンチャーキャピタルの目にもとまりやすくなる副次的効果も期待できます。これらの利点により、ICOは「代替的資金調達手段」とまで称賛されるようになりました。

しかし、中には何もせずただお金を持ち逃げたもの、プロジェクトが挫折したもの、仲間割れなどによって解散状態のもの、FBIの捜査の手が及ぶ詐欺事案などが出現し、理由は様々であれど、結果的に無価値になったトークンが千とあるため、ICOへの投資に対しては日本含め、各国の行政機関が注意勧告を出している状況です。一部富裕層の間でICO祭りに沸いていた中国では政府がいち早く(2017年9月)これを全面禁止としました。

無論ICOを行った企業の中には、その後大手ベンチャーキャピタルからの資金調達にも成功し、引き続き仮想通貨業界で成長を続けている企業もあります。また、前述の通り、イーサリアムのようにICOに成功したからこそ未来を切り開いた実例もありますので、ICOという調達手段が決して悪とは言い切れません。有望な企業(もしくは個人やチーム)にとっては有効な資金調達の1つになり得ますので、既存金融に準じた詐欺的事案(スキャム)を抑制する枠組みの早期的な整備が期待されているのです。

そんな中、ICOに代わる調達方法として最初に注目されたのがSTO(Security Token Offeringの頭文字を取っており、エス・ティー・オーと発音します)でした。

STOの起源

2016年6月に発生したThe DAO事件*をきっかけに、米国証券取引委員会(SEC)がDAOの調査に乗り出し、同年7月には、米国証券法上The DAOトークンが有価証券に位置付けられるとされたレポートが公表されました。自律分散型として開発され、発行体が存在しないDAOトークンでしたが、SECはSlock.itを実質的な発行者とみなし、有価証券に該当するトークンの勧誘・募集に際しSECに登録されなかったことが違法であるとされたのです。

さらに有価証券に該当するか否かについては、Howey Test(ハウィーテスト)という基準が準用されるとされました。それが以下4項目です。

  1. It is an investment of money (金銭による投資か)
  2. There is an expectation of profits from the investment(投資から利益が期待されるか)
  3. The investment of money is in a common enterprise(共同事業に対する投資か)
  4. Any profit comes from the efforts of a promoter or third party(第三者又はプロモーターの努力によりもたらされた利益があるか)

有価証券に該当しない形式で資金調達が図られてきたICOがSECに違法と判断されたため、The DAO事件を皮切りに、有価証券(Security)に該当させた上で合法的に資金調達を行うSTO形式が普及しはじめたのです。

The DAO事件とは*

2016/4/30〜5/21のたった28日という短期間で、11,000 以上もの投資家からイーサリアムベースでおよそ150百万米ドル相当の(1ドル108円換算で、約162億円)資金を集めました。同プロジェクトは、スマートコントラクトを活用して非中央集権型の投資ファンドを構築するもので、クラウドファンディングにおける史上最高調達額を更新したと言われています。

しかし その翌月6/17に、The DAO はプログラムのバグ(脆弱性)をつかれ、調達した資金の3分の1以上を盗まれるという巨額なハッキング事件が発生しました。

次回はSTOの特徴について更に詳しく考察したいと思います。

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