【連載】ビットコインとブロックチェーン

Vol.2 ブロックチェーン技術の始まり

ビットコイン時代

今私たちは、個人と個人がリアルタイムにチャットをしたりメールをしたりできるのが当たり前という時代に生きています。

でも振り返れば、ほんの数十年前までインターネットは電話回線で、スピードが非常に遅く、動画サイトなんてとても存在できない状況で、利用者も限定的でした。1996年(平成8年)にYahoo!Japanがサービスローンチをした時の日本のインターネット人口普及率*はなんと3.3%です。驚くことに昭和じゃないんです・・。

ビットコイン論文が発表された2009年(平成21年)は、iphoneが初めて販売された翌年のことでした。光回線が家庭用に普及し、Youtube動画サイトも2005年にはサービスを開始していました。このような時代背景でしたので、インターネット技術の上で、銀行を介在せずに(高い手数料を取られなくても)世界中どの国にいる相手にもお金を送金ことを可能にする』という構想を描く人がいたとしても不思議ではありません。

しかし問題は、どうやって自分の大切な資産であるお金を、直接世界中の第三者に、安全に安く、そして早く送るということ具現化するのかという点です。

ビットコイン技術の誕生

サトシ・ナカモトは、信用できる第三者を介在させずに送金を行う方法として、暗号学的証明(コンセンサス・アルゴリズム)に基づく取引システムを活用する方法を論文(ホワイトペーパー)で提唱しました。

ワイン丸
ワイン丸

余談ですが、サトシ・ナカモトの論文に「ブロックチェーン」という単語は出てきません。「ブロック」と「チェーン」の2単語で説明されていましたが、2016年には「ブロックチェーン/blockchain」が一つの単語として浸透し定着しました。

私たちは普段の生活の中で、何をするにも、ほぼ必ずと言っていいほど信用している第三者を介在させて何らかの取引やコミュニケーションを行っています

例えば、送金をする場合は「銀行」を信用していますし、物品を購入する場合には「店舗」を信頼(賞味期限や品質など)しています。メールの送受信やチャットは「プラットフォーム」を信用して利用しています。従って、利用者は企業に対して何らかの対価を支払う必要が生じるし、逆に言えば、企業は利益にならないサービスを提供しません。営利目的ですから当然ですね。

しかし、我々が信用しているもしくは、サービスを利用したいがために信用せざるを得ないこの第三者には、人為的ミス・偽造・改ざん・個人情報の搾取・セキュリティー問題・不透明な支払い対価など、様々な問題も潜んでいます。

サトシ・ナカモトは、この「信用する第三者」に代わって、暗号学的証明という方法によって「誰でも信用できるようにする」という横串をさしたのです。「信用力」が最も求められているのは、世界中の人々が生きていくためにまず必要な「お金」です。ビットコイン中央集権(信用する第三者)に依存しない、「非中央集権型」の新しい通貨としてサトシ・ナカモトに開発されたのです。

ブロックチェーンと分散型台帳

ビットコインの非中央集権型という性質を担保するために、ブロックチェーン技術が用いられています。ブロックチェーンは「公開型分散型台帳技術」と訳されることがありますが、分散台帳技術は「Distributed Ledger Technology(DLT)」ときちんと英語では分別表記されていますので、まずはこの違いを抑えておきましょう。

ワイン丸
ワイン丸

先に提唱されたのはブロックチェーン技術ですが、分散型台帳技術の1つであると考えた方がイメージを掴みやすくなりますよ。

 

まず台帳=データです。分散型台帳は単純に「1つのデータを複数の端末に分散して保存する」という意味になります。分散型台帳の反対に当たるのは集中型で、データセンターがサーバーでデータを管理するということになります。

一見すると分散型に見えるクラウドサービスも現在の主流は集中型で、データセンターに仮想マシンが置いてあります。但し、現在はクラウドサービスも分散型にシフトしようとしている段階です。例えば日本は地震などの災害により、サーバーがダウンするリスクがありますので、現状は分散した地域にバックアップサーバーを設置するなどの対策が取られています。

一般的な分散型管理の主な目的には、①データ処理スピードの向上(サーバーの物理的距離の分散やマシン負荷の緩和)、②データ消失・破損リスクの低減などが挙げられます。ファイルの更改や削除などは出来る状態になっています。この方が使い勝手が良く親和性の高いビジネスも多いのです。

一方のブロックチェーンは、非中央集権型の通貨(ビットコイン)を創ることが目的であるため、1つの取引データを一つの機関・企業が管理するのではなく、複数の端末で同じデータを対等に持ち合う分散管理(Peer to Peer, P2P)とした上で、さらに暗号学的証明(Proof of Work, PoW)を用いてその取引が改ざんされないよう、誰とでも信用できる取引を行えるようにしました。この一連の目的を実現させたのが「ブロックチェーン技術」です。データベースをただ分散させるだけでは、片手落ちであり目的は達成できないわけです。

もっとも通貨の世界でも一部ではありますがブロックチェーンを使わないものもあります。完全なる非中央集権を目指しておらず、「管理者」を立てた上で、技術のアップデートやセキュリティー対策のサポートを行い、別の目的に主軸を置いた通貨もあるのです。その代表的な通貨がリップルです(管理者がいるとは言え、XRPの価格がリップル社によってコントロールされているわけではありません。為替の世界と同じで市場で形成されています)。

整理するとこういうことです:
管理者がいる(中央集権型)場合、データの保存は集権型でも分散型でも選択できますが、管理者がいない場合(非中央集権型)は、分散型台帳技術を活用することになります。そして分散型台帳技術の一つがブロックチェーンです。

 集権型(データセンター)分散型台帳
中央集権型(信用する第三者を介在させる)
非中央集権型(誰でも信用できる)×

ビットコインは、インターネットとブロックチェーン技術の上に成り立っていますが、他の領域でもブロックチェーン技術の活用が期待されています。次回、PoWの説明も含めてブロックチェーン技術に焦点をあててお伝えしたいと思います。

ブロックチェーン技術の原点

サトシ・ナカモトの論文のReference(参考文献)にも明記されていますが、ブロックチェーン技術の元になったのは、1991年にStuart Haber氏とW. Scott Stornetta氏が考案した、文書等のタイムスタンプ(いつ時点に作成されたものなのか)の改ざん防止方法です。その論文はこちら⇨「How to Time-Stamp a Digital Document」⇦

サトシ・ナカモトは、この改ざん防止を送金に応用したブロックチェーン技術を発案しました。まさに点と点が繋がった瞬間と言えるのではないでしょうか!

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