2024年米大統領選と暗号資産業界
11月に米大統領選が迫る中、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の支持率は拮抗し、勝敗の鍵を握る激戦州の一つペンシルベニア州では接戦となっている(19日 ロイター報道)
2024年の米大統領選挙は、暗号資産業界にも大きな影響を与える可能性がある。共和党候補ドナルド・トランプ氏は自らを「クリプトプレジデント」と称し、積極的に暗号資産を支持。21日には自身のSNS「Truth Social」で「TRUMP COIN」のミントも発表した。
一方、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領は暗号資産についての立場を明確にしていない。大手資産運用会社VanEckのアナリストによると、どちらの候補が暗号資産業界に有利かは一概には言えないが、両者がビットコインに対してポジティブな要素を持つことは確かだという。
トランプ前大統領のスタンス
VanEckのデジタル資産リサーチ責任者Matthew Sigel氏と、同社デジタル資産投資アナリストNathan Frankovitz氏の分析では、トランプ氏が再選した場合、規制緩和とビジネスフレンドリーな政策が暗号資産業界全体にプラスの影響をもたらすだろう。特に、過去4年間の規制強化に苦しんできた暗号資産関連の起業家たちにとっては有利な環境が期待されている。
ハリス副大統領のスタンス
ハリス氏が勝利した場合、暗号資産業界全体にとっての影響はやや不透明だが、ビットコインに対しては有利に働く可能性があるとVanEckは指摘している。
ハリス氏が証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長を続投させ、エリザベス・ウォーレン上院議員と連携すれば、マネーローンダリングの一層の強化から、機関投資家によるデジタル資産の活用・導入を抑制する可能性がある。
しかし、こうした規制強化が結果的にビットコインの需要を高める可能性があるという。ビットコインはその独自の規制上の明確性から、他のデジタル資産と比較して優位性を発揮するだろう。ハリス副大統領は、選挙戦において暗号資産に対する姿勢を明確に述べたことはないが、ハリス副大統領が勝利した場合、暗号資産業界への影響はトランプ政権ほど明確ではないものの、ビットコインにとってはむしろ有利になる可能性があるとVanEckは主張している。
ビットコインが強気ムードになるのはトランプ氏しかいないという意見も
Bernstein(バーンスタイン)のチームは、トランプ氏が当選した場合、ビットコインの価格は年末までに8万ドルから9万ドルのレンジ近くに達すると予測。反対に、ハリス氏が勝利した場合、ビットコインは下落し、3万ドルから4万ドルのレンジを試す可能性があるとの予測している。
「選挙結果に関わらず」、VanEckは、財政赤字の拡大や国家債務の増加に伴い、米ドルが弱体化する可能性が高いと考えている。その結果、ビットコインに有利なマクロ経済環境が形成され、ビットコインは引き続き市場で強い存在感を示すだろうとの見解を示している。
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