米SECがビットコインETFオプションを承認
2024年9月20日(金)、米証券取引委員会(SEC)は、米資産運用最大手ブラックロック社が提供するiShares Bitcoin Trust(IBIT)の米ナスダック(Nasdaq)でのオプション取引上場および取引開始を承認した。正式承認に至った背景としては、ブラックロック社が提供するビットコインETFが既存のビットコインETFの中で最も取引量が多く、流動性が高いことが挙げられる。当該オプションは機関投資家向けに設計されており、将来的にはビットコインのエクスポージャーを調整する手段として利用されることが期待される。
現物決済型+アメリカンタイプ
今回承認されたオプション取引は差金決済型ではなく現物決済型のタイプとなる。従って、行使を行う際には実際に原資産のビットコインETFが受け渡しされることとなる。また、アメリカンタイプのオプションでもあるため、行使期日までであればいつでもオプションを行使することが可能となる。
今後の展望
米SECによる今回の承認は一連のプロセスの第一段階に過ぎず、オプション取引が正式に開始されるためには、米通貨監督庁(OCC)や米商品先物取引委員会(CFTC)など、他の規制機関の承認も必要となる。とはいえ、米SECによる正式承認が市場に与えるインパクトは極めて大きく、ビットコインを含む暗号資産がメインストリームの金融商品として受け入れられていることを示唆する好材料だ。
機関投資家やヘッジファンドがより効率的なリスク管理手法として、カバードコール (Covered Call)、プロテクティブプット (Protective Put)、ストラドル (Straddle)、ストラングル (Strangle)、バーティカルスプレッド (Vertical Spread)、アイアンコンドル (Iron Condor)、キャッシュセキュアードプット (Cash-Secured Put)、コールスプレッド+プットスプレッド (Iron Butterfly)などを日常的に用いる日は近いと見られ、来年以降はビットコイン相場の先行きを予測する上でオプション勢(特にマーケットメーカー側)のポジショニングを考慮せざるを得なくなるだろう。加えて、既存のCrypto-Optionsのマーケットメーカーの陣容も一変しそうだ。具体的には大手金融機関によるオプション市場のマーケットメイキング業務への参入事例が増えると見ている。
ビットコインを含む暗号資産市場は、オプション市場の拡大によってさらに複雑かつ成熟したものとなるだろう。特に、機関投資家の参入やマーケットメーカーの再編が進むことで、暗号資産市場全体が伝統的な金融市場により一層近づくと予想される。結果として、リスク管理や投資戦略が進化し、ビットコイン市場はかつてないほどの流動性と安定性を手に入れるシナリオが想定される。暗号資産がグローバルな金融エコシステムの一角を担う日はすぐそこに来ている。
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