BlackRockのBUIDLファンドに裏付けられたUStbの発行
Ethena(エセナ)は26日、RWA(リアル・ワールド・アセット)トークン化プラットフォームの米セキュリタイズと提携し、新しいステーブルコイン「UStb」の発行計画を公表した。UStbは、リザーブ資産をイーサリアム上に発行されたBlackRockのUSD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)に投資する予定である。
BlackRockのBUIDLは、短期米国債やレポ取引などの安全資産で運用されるファンド型トークンである。2024年3月のローンチ以来、急成長を遂げており、足元500億ドルを超える運用資産残高を抱えている。誕生から2ヶ月あまりで米運用会社大手のフランクリン・テンプルトンが2021年にローンチした類似商品であるBENJIを抜き、BUIDLはトークン化された米国債市場において最大のファンドとしての地位を確立している。
資産運用会社21.coによると、トークン化された政府証券市場は現在、総額20億ドルを超えており、今後も成長が期待されている。
米セキュリタイズは、BlackRock、Hamilton Lane、KKRなどの大手資産運用会社向けにファンドのトークン化サービスを提供しており、その運用資産残高は9億5000万ドル以上に達していると報告されている。
Ethenaが発行するUSDeとは
Ethenaはこれまでに「シンセティック・ドル(合成ドル)」と呼ばれるステーブルコイン「USDe」を発行している。これは、USDCのように法定通貨などを担保にして米ドルと1:1の連動性を保つステーブルコインとは異なり、デリバティブのヘッジ戦略を活用して価値を維持する仕組みだ。
USDeは、ベーシス取引(キャッシュ・アンド・キャリー取引)を用い、暗号資産の現物を担保に、先物市場でショートポジションを取るデルタニュートラル戦略によって、目標とする1ドルとの連動性を保ちながら、ステーキング報酬などからイールドを得られる設計となっている。
USDeは2024年2月のローンチ以降、急速に成長し、足元では時価総額第6位のステーブルコインとなっている。2024年9月27日時点でのUSDeの流通供給量は25億ドルに達しており、存在感を高めている。しかし、デリバティブ市場に対するエクスポージャーや、取引所のカウンターパーティーリスク、さらには担保価値の変動リスクが内在し、米ドルとの連動性に影響を与える可能性がある。
ソース:RWA.xyz
UStbの役割
Ethenaは、極端な市場環境下などでマイナスの調達金利が続き、ガバナンス上必要かつ適切と判断した場合には、USDeのヘッジポジションを解消し、担保資産をUStbに再配分する方針を示している。また、UStbは、BybitやBitgetといったEthena提携の暗号資産取引所で、USDeの代替として証拠金担保として利用される可能性も想定されている。UStbは、USDeとは異なるリスクプロファイルを持つステーブルコインとして、市場に新たな選択肢を提供する。
Ethenaの資金調達と市場の動向
プロトコル開発者のEthena Labsは2024年2月、DragonflyやBitMEX創業者アーサー・ヘイズのファミリーオフィス「Maelstrom」が共同リードを務めた戦略的投資ラウンドで、PayPal Venturesやフランクリン・テンプルトンを含む投資家から1400万ドルを調達している。同社の評価額は3億ドルに達しており、UStbの発行を通じてさらに市場での存在感を高めることが期待されている。
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