CoinCollege∛の運営メンバーの一人であるsatogramさんの下記ツイートに対して、複数名の方々からご質問を頂きましたので、以下に詳細を説明いたします!
個人投資家中心の暗号資産オプション市場において、カットオフ前後のデルタ調整の需給を見極めることはとても大切です。
尚、現物決済型オプション市場と、差金決済型オプション市場の場合で、デルタ調整の有無が異なる点に留意が必要です。我々が注目しているのはオランダの仮想通貨取引所deribitですので、「差金決済型オプション市場」のケースとなります。この記事は双方のケースにおけるキャッシュフローの流れを解説いたします。
説明をするにあたっての前提条件
・BTCUSD相場が8000ドルの時に、オプション市場でOTMプット(7500ドル)を1BTC購入
・その後スポットが運よく7000ドルまで下がったので、ITMに化けた7500ドルPUTをそのままオプションとして利確(売り戻す)のでは無く、BTC現物を1BTCロングにすることで経済効果的に利確
・カットオフの時点でspotは7300ドルに反発。差金決済を経て、ポジションはスクエアに
現物決済型オプション市場の場合(LedgerXやBakkt)
①Spotが8000ドルの時にプットオプションを購入。BUY 7500-PUT in 1BTC
②その後スポットが7000ドルまで急落したので、ポジションを経済効果としてスクエアにする為にBTC現物を購入。BUY BTCUSD in 1BTC @7000
③カットオフ・レートは7300ドル。7500-PUTはITMになっているので、SELL in 1BTC @7500が新規で立ちます。
④上記②で作ったBUY 1BTCと、上記③の行使為替で生まれたSELL 1BTCが相殺されることでポジションは完全にスクエアに(上記①のオプションはカットオフを迎えたことで失効済み)
差金決済型オプション市場の場合(deribitやCMEなど)
①Spotが8000ドルの時にプットオプションを購入。BUY 7500-PUT in 1BTC
②その後スポットが7000ドルまで急落したので、ポジションを経済効果としてスクエアにする為にBTC現物を購入。BUY BTCUSD in 1BTC @7000
——————-ここまでは現物決済型の時と同じ —————–
③カットオフ・レートは7300ドル。7500-PUTはITMになっているので、SELL in 1BTC @7500が立つと同時に、差金決済分のBUY in 1BTC @7300が同時に立ちます。
——-ん??上記②のトランザクションが浮いてしまっているのでは?——–
④そうなんです。差金決済型の場合は、上記②をきっちり売り戻す(デルタ調整を行う)必要性があります。従って、最後にSELL BTCUSD in 1BTCが発生します。
重要なポイントは、この④の部分です。
まとめ
差金決済型オプションの場合は、ITMオプションをデルタで利確した分を忘れずに反対売買しなければなりません。今回のように、スポットが急落した場合(当初OTMだったものがITMになっている建玉が極めて多い状況下)は、カットオフ前後でこうしたデルタ操作が急増する可能性がありますので、その需給を見極めることがとても大切です。