BTCオプション日報「オプション市場はショートガンマで往復ビンタ」

昨日のビットコイン相場(対ドル)は急落後に急反発するボラタイルな展開となりました(500ドル下がってから850ドル上げる嘘のような相場展開)。

下落時の背景としては、①中国関連のネガティブ報道(中国当局の仮想通貨取り締まり強化の動き)、②ハッシュパワー上昇に伴う中小マイニング勢によるBTC売り警戒感、③テクニカル的な弱さ、④昨年末同様、上記②をヘッジする目的での輸出レンジフォワード組成(OTMのBTCPUT買い+OTMのBTCCALL売り)の思惑④上記③を引き受けるMMのダウンサイドのショートガンマ操作(=スポットが下落すればするほどオプションに絡んだBTCロングが出てくるのでそれを市場で売却しなければならない状態)、⑤上記①から④を見越した短期筋のショートポジションの造成等が挙げられます。

一方、反発の理由としては、上記④⑤の逆流に尽きるのでは無いでしょうか(但し、上記④についてはある程度の水準を超えるとガンマがロング転する為、どこまでもショートガンマ操作が続く訳ではありません=なぜならMMはマイナーや個人投資家によるOTMコールの売りを一方で引き受けている為、トップサイドはガンマロングになっている可能性大=つまり7500ドルや7750ドルに乗せてくるとBTCを売らなければならないポジションになる)。

出所:TradingViewより作成

オプション市場のレビュー

BTC相場が乱高下したことでガンマ需要が高まり、インプライドボラティリティは高値圏で取引されています。ザラ場で見ると、1month ATMが一時80%程度まで上昇する場面もありましたので(No offer in the marketの状態)、ガンマショートに苦しめられたMMの動きが透けて見えます。

出所:LedgerXより作成

尚、昨日のMMの行動については下記ツイートをご参照下さい。

要点は下記の通りです。

①マイナーがレンジフォワード(BTCプット買い+BTCコール売り)を組成

→引き受け手のMMのポジションは下側がガンマショート、上側がガンマロング

②BTC相場が急落

③通常はガンマロング勢によるデルタヘッジとしてのBTC買いが、MMのロスカットとしてのBTC売りより先に入る為、相場を食い止める効果をもたらすが、マイナーは実需である為(トレーディング目的では無い為)、デルタヘッジとしてのBTC買いなど行わない。結果、MMのロスカットとしてのBTC売りだけが浮いてしまい、BTC相場の下落に拍車をかける

④MMはガンマショートを解消すべく、ダウンサイドのオプションを買い戻したいが、PUTの売り手を見つけるのは難しく、結局BTCを売ることでガンマショートをマネージせざるを得なくなる。その結果、更にBTC価格が下落

⑤その後、大口投資家を中心にBTC買いが入ると、ショートカバーが引き起こされ、MMは上記で売却したBTCキャッシュを買い戻すオペレーションを強いられる。その結果、BTC価格は想像以上に急上昇。

これが所謂「ショートガンマの往復ビンタ」と呼ばれる現象です(この状態に陥ってしまうと恐ろしくPLを失いますので、オプションディーラーは常にこれを避ける努力をしてます。避けきれないことも山ほどありますが。。。)

本日の注目ポイント

BTC相場の乱高下を受けて、市場には「焼け野原」感が漂っています(10/26の暴騰直後と同じような状態)。この為、本日は出来高・動意共に欠ける展開が見込まれ、オプション勢はポジションを淡々と均す(調整する)1日になりそうです(ガンマショート勢のオプション買い戻しと、ガンマロング勢のオプション売り戻しが見合う状態)。以下、Deribitのbuy-sell一覧を見てもコールとプットの売買が見合っている状態です。BTC相場が上がったことでMMのショートガンマは概ね解消されており、本日は「BTC相場膠着→ボラティリティ(特にガンマゾーン)低下」のシナリオに注意が必要でしょう。昨日オプションを買った人にとってはじれったい相場(動いて欲しいのに動いてくれない相場)となりそうです。

出所:skewより作成

LXVX指数(68.59% @7150 USD)で逆算した向こう24時間の予想レンジは、

対ドルが「6893ドル〜7407ドル」
対円が「74.8万円〜80.4万円」です。

具体的な計算方法については下記の記事をご参照下さい!

本日17:00はLTCUSDT(BinanceJEX)のオプションカットが予定されております

(今週のオプション行使期日一覧表はこちら!)

それでは、本日も宜しくお願いします!!

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本記事は一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産を含む金融商品の売買、投資、保有などを勧誘又は推奨するものではありません。本記事は、信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、その正確性、適時性、適切性又は完全性を表明又は保証するものではありません。投資の最終判断は、お客様ご自身の責任のもとで行われます様よろしくお願い申し上げます。
CoinCollege∛編集部

CoinCollege∛編集部はインターバンク市場で活躍したオプションディーラーやフォワードディーラー、エコノミストやストラテジスト、有価証券バイサイドトレーダーなど複数名の有志で構成されたリサーチ&トレーディングチーム。

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