ビットコイン相場(対ドル)は米国時間朝方(日本時間22時頃)に急落し、心理的節目6750ドルを割り込みました(安値6570ドル)。7000ドルを割ってからの展開がとても早いですね。
昨日も触れました通り、一目均衡表遅行線の26日前のローソク足接触を強引に回避させるマーケットの習性(元々は為替市場に出やすい習性)がビットコイン相場に見られた格好です。
テクニカル的に見ると、①弱気のパーフェクトオーダー(21日線<90日線<200日線)、②一目均衡表三役逆転(転換線の基準線下抜け+一目均衡表雲下限下抜け+遅行線のローソク足下抜け)、③365日移動平均線の下方ブレイク、④心理的節目7000ドル&6750ドル割れ、⑤バンドウォーク(下限)の発生など、リスクは「下向き」と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、⑥米中リスクと英国リスクが共に後退したことで、リスクオフを起点としたビットコイン市場への資金流入が見込みづらくなったこと、⑦DCEPをはじめ中銀デジタル通貨の台頭を受けてビットコインなど非中央集権型仮想通貨の良い部分が一時的に見えづらくなっていること(特に1/1のDCEPローンチリスクに要警戒)、⑧CME先物市場に見られるネットショート拡大の兆し、⑨オプション市場のダウンサイドのショートガンマ顕在化リスク(マイニングファームによるレンジフォワードが主因)、⑩プラストークン絡みの換金売り懸念など、やはりダウンサイドリスクが大きいように感じております。
以上を踏まえ、当編集部ではビットコイン相場の「短期ベア見通し」を引き続き継続いたします(来年はブル転予想です)。ショートカバーリスクはあるものの、戻り売りスタンスを継続。目先は11/25安値6526ドルを試す展開を予想いたします。
オプション市場のレビュー
ビットコイン相場の急落を受けてインプライドボラティリティ(IV)は高騰しました。短期物を中心にボラティリティ需要(ガンマ需要)が高まっている状態です(膠着相場を予想してオプションを売り込んでいた向きがオプションを急いで買い戻している状態)。つまりオプション市場は典型的な「ショートガンマ」。
1ヶ月物ATM(at the money)は65%付近まで急上昇しました。

ボラティリティカーブもガンマゾーン高騰で手前が「逆イールド」に転じました(期近が高くて、期先が低い現象=ガンマ買い需要の極度の高まりを示唆)。マーケットメイカーのポジションもショートガンマになっている可能性が高く(背景はマイニングファームによる大口のレンジフォワード)、オプション市場の視点で見れば、ダウンサイドリスクは極めて大きい(警戒すべき)と判断できます(外国為替市場に例えると今年初のフラッシュクラッシュ時と同じようなポジション構造になっています)。

本日の注目ポイント
本日は、オプション勢が抱えるショートガンマの顕在化に注意が必要です(インプライドボラの上昇を見る限り、ダウンサイドは更にショートガンマの可能性大)。
BTC情報アラートさんのスマイルカーブ(特に右下の緑色の線)を見ても、PUTオプションの高騰が目立ちます(正確にはリスクリバーサルにおけるBTCプットオーバーの拡大と言います)。
BTC相場がショートガンマゾーンとみられる6750ドルを大きく割り込んだことで、インプライドボラティリティの上昇を通じてBTC価格が下落する負のスパイラルに陥るリスクが警戒されます(スポット下落でオプション価格が高騰→ショートガンマを閉じたいけどオプション価格が高過ぎてオプションを買えない→現物や先物などデルタを売ることでポートフォリオ時価を守ろうと奮闘→BTC相場が一段安の負のスパイラル)。尚、この流れは逆流することもあります。つまりショートカバーと急落が交互に繰り返されることでオプション・ショート勢が痛みを被る状態です(これをガンマ地獄と言います)。事実、昨日の急落を受けてDeribitの破産者数は増加しております。
尚、最新の期近オプションの建玉については下記の記事をご参照ください!
IVで算出した予想レンジ
1monthのインプライドボラ(64.83% @6,606 USD)で計算した向こう24時間の予想レンジは、
対ドルが「6,382ドル〜6,830ドル」
対円が「69.9万円〜74.8万円」です。
本日のイベント一覧
17:00:BTCUSDT オプションカットオフ(BinanceJEX)
17:30:ラガルドECB総裁講演
19:15:ブレイナードFRB理事講演
20:15:クーレECB専務理事講演
02:40:シカゴ連銀エバンス総裁講演
未定:米下院本会議(トランプ米大統領弾劾決議案採決)
それでは、本日も宜しくお願い致します🤶