Facebookの暗号資産「リブラ」、ザッカーバーグCEOの公聴会に注目!
2019年10月14日(月)、米フェイスブックが主導するリブラ協会は、本社のあるスイス・ジュネーブにて設立総会を開催し、21社・団体の創設メンバーが集結、プロジェクト参加署名が行われました。
当初28社・団体の参画が見込まれていましたが、各国の政治家や当局からの相次ぐ牽制や圧力により、金曜日までに6社が辞退、署名当日には、Booking.comも見送りを決め、合計7社が辞退することとなりました。

渦中の米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、2019年10月23日に行われる予定の米下院金融委員会の公聴会で、証人として招集されています。
ザッカーバーグCEOの招集は約1年半ぶりのことで、今回の公聴会ではリブラプロジェクトに係る法令・規制順守体制の構築などに関して説明が求められる模様で注目されています。
2020年6月のローンチは規制対応で延期か?!
リブラプロジェクトは、膨大なユーザー数をもつフェイスブックが主導することから、マネーロンダリング問題や顧客保護対策など問題山積の状況です。規制当局との調整が難航する可能性もあり、当初予定されていた2020年6月のローンチには遅れが出ると予想されています。
実際、リブラ協会の副会長であるDante Disparte氏が、Financial Timesの取材に対し次のように答え、既にローンチ延期の可能性を示唆しています。
テクノロジー面を予定通り準備できたとしても、規制面の対応は不確実性が高い。Libraは、欧州と米国でのサービス提供に必要なライセンスと認可が取得できるまでは、一切のサービスローンチを行う予定はなく、これに伴いローンチが遅れる可能性もあり得る
Financial Times: 2019年10月15日付 Facebook admits digital currency doubts as regulatory hurdles loom Coincollege∛が一部抜粋翻訳
また、プロジェクトの支障として、リブラを主導するフェイスブック自身に個人情報流出問題など当局らの懸念があり、心証が悪いことから(関連記事をご参照ください)、一部創設メンバー内からも”Facebook”と ”Libra”の切り離しを求める声が挙がっています。
Dante氏はインタビューでこの件にも触れ、次のように言及しました。
創設メンバー各社は、それぞれが10M米ドル以上の出資を行っており、平等に議決権を有している。フェイスブックは一創設メンバーに過ぎず、残る21社と保持する権限は同等である
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Libra(リブラ)ローンチまでの課題
2019年10月16日に開催された「〜デジタル時代におけるお金の未来〜」をテーマとした講演にて、連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事が、米政府として初めてリブラプロジェクトに対する具体的な要求に触れました。
ソーシャルメディアが暗号資産取引を開始するにあたっては、法的および規制上の主要な課題(core set of legal and regulatory challenges)を乗り越えなければならない。
①アンチマネーロンダリング、②顧客保護体制、③各創設メンバーが遂行する金融取引の種類について当局らと事前の合意が必須である。
公聴会でもこれら3点に対して、ザッカーバーグCEOがどのような策を講じる考えなのかが焦点になるかもしれません。
<関連記事> 公聴会の様子