この記事では最近注目を集めているBakkt(バックト)について解説いたします。
ビットコイン ETFより注目されるBAKKT(バックト)とは
2018年の暗号資産市場は、「ビットコインETF」がシカゴ・オプション取引所(Cboe)に上場を果たすのではないかとの期待感に暗号資産市場が一喜一憂した一年でした。しかし、2019年執筆時点でも未だ米証券取引員会(SEC)による暗号資産を裏付けとしたETF商品の上場承認目処は立っておりません。
そんな折、2018年後半からビットコイン ETFに代わり、一気に市場の注目の的となったのが「BAKKT(バックト)」でした。
ETFと比較されるのは、BAKKTの仕組みにおいても、ETFと同様に『機関投資家の暗号資産参入の呼び水』となって暗号資産市場の相場を押し上げるのではないと期待されているためです。
ICEがBAKKTというサービスローンチを公表
2018年8月3日に、ニューヨーク証券取引所(NYSE)を所有するインターコンチネンタル取引所(ICE)は、「BAKKT」と呼ばれる暗号資産サービスをローンチする予定であることを公表しました。当初公表されたサービスは次の2つです。
①先物決済機構であるICE Clear USのプラットフォームを活用した、BTCの現物決済型1Day先物取引の提供
②BTC現物のウォレット機能を有する保管業務(=ウェアハウジング)
さらに驚いたことに、BCG(ボストンコンサルティンググループ)、スターバックス、マイクロソフト等と協働することも同時に発表されました。何で協働するのかなど、詳細は一切公表されませんでしたが、これにより暗号資産のネックでもあった“実用性”が強化され、近い将来スターバックスでBTCを利用した決済が可能となるのではないかと大きく期待されています。
時価総額ランキングで世界最大級の取引所が、BTC現物の売買・保管・商業施設での利用を目指して始動したとあって、未だ懐疑的な見方も多く残る暗号資産市場ですが、新たな金融商品として、より広く機関投資家に受け入れられる時代がすぐそこまで来ていることを改めて示したニュースだったように感じます。
BAKKTがもたらす影響
BAKKTのローンチと普及によって、暗号資産市場に次のような影響がもたらされるのではないかと予想しています。
機関投資家の仮想通貨市場流入 (第三者によってBTC資産がきちんと保全される)
↓
仮想通貨市場の活性化、規制整備の後押し
↓
BTCがボーダレス通貨として各国で両替・商取引に利用できる
(既存の為替市場のように、価格の変動に実需が伴う)
BAKKTのサービス開始時期

公表当初の予定では、2018年11月18日にサービスのローンチが予定されていました。しかしローンチの日程はどんどん後ろ倒しになりました(1度目の延期の際は12月12日、2度目の延期では2019年1月24日ローンチに変更)。
ローンチの延期はあまり稀なことではありませんが、2018年の仮想通貨市場は、相次ぐハッキング報道に価格が押し下げられ、好材料も乏しく、個人投資家の仮想通貨離れとも言える停滞ムードが続いていました。
注目度の高いBAKKTの幾度の延期は相場に悪影響を及ぼすこともあり、2度目の延期発表の際には、当時のBakktのCEOである Kelly Loeffler氏がブログで進捗状況を共有し、事前の火消しに走っていました。
さすが3度目の延期はあるまいと思われていたのですが、今度は米政府機関が史上最長のシャットダウンに入るという影響を受け、最終的にローンチを果たしたのは2019年9月23日でした!
今後の機関投資家の参入見通しや、商業利用の実現目処など引き続き続報に注目したいと思います。
