ブロックチェーンを用いた「デジタル証券化」の波が日本にも押し寄せてきており、2020年はまさに「セキュリティトークン元年」になるとも言われています。
この記事では、足元注目を浴びつつある「セキュリティトークン」を推進する3つの団体の内、より中立的なポジションに位置する「日本セキュリティトークン協会」について解説いたします。
その他の業界団体についての記事はこちらです。
・一般社団法人日本STO協会
・ST研究コンソーシアム
一般社団法人日本セキュリティトークン協会とは

一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)は2019年5月に発足し、「セキュリティトークンの知見を集約し、セキュリティトークンエコシステムの健全な発展を推進すること」を目指した非営利団体となります。
セキュリティトークンに係る興味深い勉強会が定期的に開催されておりますので(以下公式Twitterご参照)、STビジネスに興味をお持ちの方は必見です。
セキュリティトークンを推進する3つの業界団体
日本では、セキュリティトークン・ビジネスを牽引する業界団体として、①ST研究コンソーシアム、②日本STO協会、③日本セキュリティトークン協会の3つが存在します。

上記の内、①はMUFGグループが主導していることから「三菱グループ色」が強く、
②については本邦主要証券会社9社が加盟している他、2020年4月30日付で金融庁より自主規制団体として認定されていることもあり「金融色(+SBIグループ色)」が強い団体となります。
こうした中、③の日本セキュリティトークン協会は、会員に様々な業界の企業が名を連ねるなど、よりビジネスサイドの中立的な業界団体として注目されつつあります(強いて言うならば、やや不動産色が強いことから、不動産証券化のデジタル化=不動産ST化ビジネスを推進する役割を担うのではないかと期待されております)。
日本セキュリティトークン協会の目的
セキュリティトークンの技術、制度、ビジネスに関して、調査、研究、普及・啓発活動等を通じて、セキュリティトークンの品質向上を図り、セキュリティトークンを用いたエコシステムの健全性の確保に努めるとともに、公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上に寄与し、日本経済の健全な発展に貢献することを目的とする(出所:日本セキュリティトークン協会ウェブサイト)
日本セキュリティトークン協会の事業概要
(1)セキュリティトークンの技術、制度、ビジネスに関する知見の収集活動
出所:日本セキュリティトークン協会ウェブサイト
(2)セキュリティトークンの応用・普及に関わる活動
(3)セキュリティトークンに関連する情報配信、関係者の支援
(4)セキュリティトークンに関連する研究会・講演会などイベントの開催
(5)セキュリティトークンに関連する自主規制案の検討
(6)セキュリティトークンに関連する国内外の学会や団体との交流
(7)セキュリティトークンに関連する技術の研究
日本セキュリティトークン協会の正会員(計8社)

TMI総合法律事務所 |
グローシップ・パートナーズ株式会社 |
フィンテックグローバル株式会社 |
デロイトトーマツコンサルティング合同会社 |
株式会社クニエ |
GVA法律事務所 |
東海東京フィナンシャルホールディングス株式会社 |
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 |
日本セキュリティトークン協会の賛助会員(計12社)

株式会社LIFULL |
株式会社フレイ・トラスト |
HiJoJo Partners株式会社 |
NTTテクノクロス株式会社 |
穴吹興産株式会社 |
ケネディクス株式会社 |
Wave Financial(カナダ) |
株式会社アセットリード |
株式会社アジアゲートホールディングス |
Tezos Japan一般社団法人 |
日本ユニシス株式会社 |
株式会社Ginco |
日本セキュリティトークン協会のPartnership(計2社)

Securitize Inc.(米国) |
Tokeny(ルクセンブルク) |
日本セキュリティトークン協会の運営メンバー
役職 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
代表理事 | 並木 智之 | 株式会社アイ・エス・アイソフトウェア―、新日本有限責任監査法人、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社、KPMGコンサルティング株式会社を経て、現在はNTTデータグループの株式会社クニエに所属。 |
代表理事 | 増田 剛 | 株式会社クロスデジタル CEO・株式会社ブロックチェーンハブ COOを務め、ブロックチェーン関連ビジネスの事業開発に注力。 |
理事 | 斉藤 賢爾 | 早稲田大学大学院経営管理研究科教授、慶應義塾大学SFC研究所上席所員・環境情報学部講師、株式会社ブロックチェーンハブ CSO、一般社団法人ビヨンドブロックチェーン代表理事、慶應義塾大学博士(政策・メディア)、Cornell工学修士(計算機科学)。 |
理事 | 増田 一之 | ハイテクベンチャー数社創業者。株式会社ブロックチェーンハブ代表取締役、山形大学客員教授、早稲田大学経営管理研究科講師、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、早稲田大学博士(学術)、Wharton MBA、慶應義塾大学修士(メディアデザイン)。 |
理事 | 成本治男 | TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 |
監事 | 榊 正壽 | 公認会計士、東北大学国際会計大学院(IGSAP)フェロー、グローバル・セキュリティ・エクスパート株式会社取締役、株式会社Dive 監査役 |
シニアアドバイザー | 北城 恪太郎 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 名誉相談役、国際基督教大学 前理事長 |
シニアアドバイザー | 川村 嘉則 | 株式会社三井住友銀行 元副頭取 三井住友ファイナンス&リース株式会社 前社長 |
アドバイザー | 河合 健 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー弁護士 |
まとめ

日本セキュリティトークン協会は、他の2つの協会団体と比べ、より中立的で且つビジネス的な団体である為、ブロックチェーンを用いたセキュリティトークンビジネスの創出に貢献することが期待されております。
2020年3月9日には、同協会初となる金融機関(東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社)の加入も実現するなど、今後の進展に注目が集まりそうです。