2019年10月26日のビットコイン(対ドル)相場は24時間で39%近くも高騰し、約1ヶ月ぶりに1万ドルの大台を回復して市場を賑わせました。
今回の価格急反発は、習近平国家主席の発言のタイミング=米フェイスブックのザッカーバーグCEOの米議会公聴会の直後だったことが大きなポイントであり、チャイナマネーの流入増加への期待感からだったのではないかというのは、関連記事で考察していきました。
ところが、チャイナマネーの流入と言っても、執筆時点においても中国に暗号資産交換所はありません。
中国当局は2017年9月にICOの禁止と暗号資産交換所の閉鎖を強行しています。
また、これまで静観していた暗号資産のOTC取引についても、2018年に米中貿易摩擦が本格化したことで、資本逃避目的の利用を防ぐため監視を強化しました。
その結果、かつて世界のビットコイン出来高の9割近くを占めていた中国市場は足下1%未満へと縮小しております(coinhills.comのチャートの通り中国RMBは集計に表示されないほど小さい割合です)。

暗号資産市場へのチャイナマネー流入経路とは
中国国家によるデジタル通貨もまだ発行されていない中、現在チャイナマネーはどこから暗号資産に流入し得るのか謎が残ります。そこで今回はチャイナマネーの流入の経路について考察しました。
暗号資産出来高で足下世界5位につけているUSDTは米ドルにペッグされたステーブルコインとして有名ですが、このUSDTの取引の内訳を見ると、約77%(執筆時点の数値)がQC(QCash)となっています。
日本国内の暗号資産交換所では取り扱いがなく、日本人にはあまり馴染みのないQCによって買われています。
QCは香港に拠点を置く『ZB取引所』と豪州拠点の『BW取引所』でのみ取り扱っている通貨でCNYとの交換を受け付けています(執筆時点)。
しかし、OTC取引で行っているため、coinmarketcapやcoinhillsなどの公開情報で出来高データを確認することはできません。
チャイナマネーはこのQCを経由して、つまりCNY→QC→USDT→BTCという流れで流入しているのではないかと推測されています。
今回の高騰劇は一部投機筋の買いを引き寄せただけに見られますが、チャイナマネーへの期待の大きさが伺えるものです。中国の「暗号法」の可決もありましたので今後も中国の動向からは目が離せません。