野村グループは、「デジタルアセット債」及び「デジタル債」を発行
野村ホールディングス株式会社(野村HD)と株式会社野村総合研究所(NRI)の合弁会社である株式会社BOOSTRY(BOOSTRY)と、野村證券株式会社(野村證券)、野村信託銀行株式会社(野村信託)及びNRIの4社は、「価値共創を通じた社会課題の解決」の一環として協働し、2020年3月30日付で本邦初となるデジタルアセット債(第1回無担保社債)及びデジタル債(第2回無担保社債)を発行しました。
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「デジタルアセット債」は発行会社であるNRIが、投資家を直接勧誘する自己募集形態(発行会社自身が募集行為を行うこと)で起債され、「デジタル債」は野村證券が投資家を勧誘するため引受形態(投資家に販売する目的で一旦証券を取得すること)で起債されたとのことです。
社債の財務代理人を野村信託が務め、BOOSTRYはブロックチェーン基盤の「ibet」と呼ばれるシステムの提供を行うとともに、社債原簿管理人を務めています。
このibetシステムによって、社債原簿の管理と、従来型の社債では難しかった発行者による社債権者の継続的な把握等が可能となったようです。(従来型では一般債振替制度のもと、社債権者が口座開設している証券会社のみが投資家を把握できる状況にあります。)
「デジタルアセット債」及び「デジタル債」の概要
「デジタルアセット債」は、社債発行手続きの一部を電子化するために開発されたアプリを利用して自己募集が行われたようです。
また、「デジタルアセット債」は、金銭での利払いに代えて、デジタルアセット(本社債では、カフェの店舗で利用できるポイント)が付与されるという、全く新しい商品設計が採られています。株主優待のような、マーケティングが融合した仕組みは、社債という資金調達方法の将来像を大きく変えたのではないでしょうか。
一方の「デジタル債」は、従来通りの社債形態で、利息も金銭のみですが、先述の通りibetシステムによって、社債原簿の管理、流通市場の確保、発行会社による社債権者の継続的な把握等が可能となっています。
まとめ
今回の起債は、①小口かつ個人向け社債のオンライン販売の実現、②将来的にさらに多様なリターンを付与した社債を発行する端緒として、債権者の継続的な把握を通じた長期保有のインセンティブ付け等、今後の発展的な活用の可能性についても確認を行っていくと発表されてます。
法制面が気になるものの、デジタルアセット債は、発行会社にとって、より幅広い投資家層から、長期の年限で安定的な資金調達を行う選択肢の1つとなり、投資家にとって、返済義務のある社債投資で、金利以外のリターンが獲得できる機会となり得ることから、サービスの早期社会実装が期待されます。
参考(公式リリース)
参考(ibet 公式サイト)