皆さま、こんにちは。
CoinCollege∛編集部のsatogramです。
この記事では、マネロン・テロ資金供与の防止を目的に国際基準を策定するFATF(金融活動作業部会)による規制強化の動きについて解説いたします。
FATF、新たなガイダンスで暗号資産の規制強化へ
マネロン・テロ資金供与の防止を目的に国際基準を策定するFATF(金融活動作業部会)は、2019年6月21日付で新たなガイダンス(「Guidance for a Risk-Based Approach to Virtual Assets and Virtual Asset Service Providers」)を公表しました。
匿名送金を可能とするビットコインなどの暗号資産に、FATFが最初に警戒を示したのは2014年6月のことでした。その翌年2015年6月には、暗号資産交換業者をFATF規制基準の適用対象とすることを規制方針に盛り込みました。
その後も暗号資産の普及が加速し、2018年3月に開催されたG20(ブエノスアイレス)の共同声明では、「暗号資産市場の整備の必要性」が打ち出され、FATFに対しては、「市場監視の継続と報告」、そして国際的に強制力のある「規制基準の見直し」を求めました。
この背景には、暗号資産が犯罪者およびテロリストに悪用される脅威が、深刻かつ緊急の課題であると認識されているためです。
この命を受け、FATFは2018年10月にFATF基準(勧告等)を改正しました。
改正ポイント(2018年10月)
・ガイダンスレベルから拘束力のあるFATF基準へ格上げ
・Virtual Asset(暗号資産)と Virtual Asset Service Providers(暗号資産サービスプロバイダー)の定義の新設
・Recommendation 15(勧告15)で、暗号資産サービスプロバイダーによる継続的なデューデリジェンス、記録の保管、疑わしい取引の報告を義務付けるため、登録または許可制とするよう求める内容
新たなガイダンス内容

今回21日に発表された新たなガイダンスでは、国と暗号資産サービスプロバイダ(暗号資産プロダクトおよびサービスに従事またはこれらを提供する事業体を含む)の両方に拘束力のある措置を求める内容が追加されました。
より具体的には、勧告15の内容のさらなる明確化と、暗号資産サービスプロバイダの登録又は許可制、マネロン・テロ資金供与リスクの評価、監督又はモニタリング、顧客デューデリジェンス等の予防措置、記録の保管、疑わしい取引の報告、制裁措置及びその他執行措置、国際的な協力体制などに関する対応方針を「解釈ノート」で公表しました。
そして、世界各国が暗号資産に関する活動及び暗号資産のサービスプロバイダーに関し、FATF勧告をベースとする規制強化に向けて迅速な行動をとることを期待しているとした上で、FATF加盟国の実施状況についてはモニタリングをし、2020年6月より12か月間の調査を行うことも計画しています。
FATF加盟国は、向こう1年間でFATF規制基準に従った法制整備を行う必要があり、また、加盟国の暗号資産関連事業体においては、既存の金融機関と同等に、FATF規制基準に沿った「アンチマネーロンダリング及びテロ資金供与」に関する規制への遵守義務が課せられるため、体制整備が求められることになります。
日本国内の暗号資産交換業者は、既に金融庁主導のもと自主規制に従った整備が行われてきておりますが、ウォレットサービスなどの提供企業は、新たな規制対応のため、今後企業体力(資本や人員)の強化が強いられるかもしれません。